北陸

魚沼産のコシヒカリが、特Aに返り咲きました。

魚沼産コシヒカリと聞いただけで、条件反射でヨダレがでそうなブランドですが、現在、米は群雄割拠で沖縄から北海道まで、旨い米が穫れます。

 

とはいえ北陸のコシヒカリは、文字通りひと味違います。

米前線をめぐる冒険で、深く取材したい地域です。

 

【2019年 北陸の特A受賞米】 👑

 

コシヒカリ  新潟(上越 中越 佐渡 魚沼) 福井 富山

てんこもり  富山

特A受賞(参考品種)

 

いちほまれ 福井


福井

「福井の新米、ちかっぺうんめぇ!」

ハナエチゼン8月下旬。コシヒカリ9月上旬。あきさかり9月中旬。

 

コシヒカリ発祥の地は、福井である。

「新潟じゃないの? 越ひかりだし」

確かにそうで、実は福井が新潟にネーミングをお願いしたのが由来である。

そして、新潟県が推奨したのがブレークの始まりである。

「福井の米なんだよー」などと、福井県民は(ちょっぴり?)悔しい思いをしているのではないだろうか。

 

コシヒカリは、台風などの自然災害で倒れやすい。

ところが、肥料を抑えると丈夫に育つことが分かった。化学肥料の害が叫ばれるいま、コシヒカリには追い風なのである。

早く収穫できるため、米前線では登場することが多い。

 

余談だけど、

若狭で穫れた鯖を京都に届ける道を、鯖街道と呼ぶ。

京都まで約80キロくらいである。

昔は、鯖をかついで一日かかったそうだ。

京都に届いた若狭の鯖は、鯖寿司などにして珍重された(祇園の『いづう』さんは、鯖寿司で有名ですね。ちょいと、お高いけど…。)

米は、寿司に合う和歌山のキヌヒカリかもしれない。

 

鯖街道って、もしかすると、韓国にもあるんじゃないか?

と、僕は仮説をたててみた。

同じ漁場で、鯖をとるからである。

調べてみると、鯖街道があった。対面にある半島の漁港『ヨンドク』から80キロ離れたところまでが、韓国版鯖街道なのだ。終点の安東では、塩サバが名物だという。

ある雑誌の編集部に、食べ比べ企画を出したけど、海外はNGで実現していない。

サライとかなら、できるかなぁ。あそこも国内だけかも。

いつか食べてみたい鯖である。

 

『あまから手帖』の取材で、旨い水を探す旅をしたことがある。

福井若狭の『瓜破の水』から始まる旅だ。

瓜破の滝からは、夏でも瓜が割れるほど冷たい水が溢れているという。

実際、口にしてみると冷たく旨い水だったのを覚えている。

 

若狭神宮寺では、3月2日に『お水送り』の儀式が行われる。

香水を川に流し、奈良の東大寺二月堂に送る。

10日かけて東大寺二月堂に届くと言われている。

 

茶をたてるイベントをした時、わざわざ、僕は瓜破の水を汲みに行ったほどである。

さすが、お水送りの国だと思った。

 

 

いい水がある場所の米は、間違いない。

雑誌の取材では、福井の旨いものを探して歩いた。

料亭でいただく特別料理はもちろん美味だけど、シンプルな味噌汁も米も、若狭は驚くほど旨いのだ。

どうやら水が旨いと、なんでも旨いと気づいた。

普段から旨い食がある福井はズルいのだ。

 

写真は、福井名物ソースカツ丼である。

米前線が来たら、新米でいただきたい。

旨い水を使った味噌汁もつけてね。

 

文:紙本櫻士

 

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石川

「がんこうめぇ!! 新米があるうぇー」

コシヒカリ9月上旬。ひゃくまん穀9月下旬。

 

キトキトは、石川や富山の地域で、新鮮という意味である。

キトキトな魚という具合に使う。

温かいご飯とキトキトな魚さえあれば、ご馳走だ。

 

日本海側には発酵食品が多いように思う。

石川でも魚のぬか漬けなど、伝統的な発酵食品がいくつかある。

魚がとれない時の保存食らしいが、そもそも、魚がとれないことなど石川にあるのだろうか?

 

石川南部の本吉港(現在は美川港)は、かつて北前船の寄港地だった。

北海道から、ニシン、ふぐ、昆布などが届き、塩漬けにされた魚はぬか漬けにして保存したという。

やはり日本海側の小浜でいただいたサバのヘシコも、酒粕とぬかで漬けたモノで、ご飯が進むくんである。

 

裏日本という言葉がある。

僕が子供の頃、

「冬型の気圧配置で、明日の裏日本は大雪が降るでしょう」

などと、天気予報で普通に言っていた。

 

「裏とはなにごとか!」

と、裏日本からの苦情が来てから、使わなくなったという。

裏日本があった頃、レコードにもA面とB面があった。

B面とは何事か! という抗議は聞いたことはないけど、

所ジョージなどは

「僕のレコードは、両方B面」

と、おどけて言っていたのを覚えている。

B面は、裏面であるから、やはりマイナスイメージはある。

B面の面白さがあるんだけどね。

 

日本海側は、大陸が近い。

おそらく大陸から発酵食文化が流れてきて、日本海側に色濃く伝わったのではないか。

大陸には発酵保存食が多いから…。

チーズやヨーグルトとかね。

石川では、遠くは渤海との交易もあったそうだから、発酵食品文化もそこからだろうか。

進んだ文化を受け入れることができた裏日本が、かつて表だったのかもしれない。

 

例えば、石川の郷土料理に、ふぐの卵巣漬けがある。

食べたことがあるが、とても塩辛い味で、酒かご飯がないときつい。

それに、そんなにうまくもない(美味しいものがあるのかもしれないけど)。

そもそも、ふぐ毒の塊みたいな食べ物である。

それが塩とぬか、唐辛子で、2年ほど漬けると、毒が抜けるという。

「そーなのか」

と、家で作らないように。許可を受けている人しか作っていはいけないのだ。

作らないけど。

これもまた、発酵文化である。

最初に食べた人は、チャレンジャーだと思う。本当に。

「どこか遠くへ連れて行ってくれるような味だよ」

などと、言ったのかな。

 

金沢は、寿司が旨い。

回転寿司でも驚くほど旨い。どのネタもキトキトな魚と旨い米の共演なのだ。

和歌山のような寿司に向いた米を作っていないから、コシヒカリを固めに炊いているのかも。

水がいいと、食べ物が素敵に旨い。

 

余談だけど、

車の免許を取った時、

友だちと4人で、高速道路に乗ってみよう。

ということになって、順番に運転を代わりながら走っていると、

たちまち金沢に着いてしまった。

「大阪からこんなに近いんだ」

と、思ったことがある。

僕たちは、金沢で寿司を食べて帰った。

がんこうめぇ寿司だったことを覚えている。

 

コシヒカリは9月上旬。

 

文:紙本櫻士

 

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富山

「新米うまいっちゃ、食べてみなれ」

コシヒカリ9月中旬。てんこもり9月下旬。

 

富山は、約8割がコシヒカリを作つけしている。


旨味とねばりが持ち味の米だ。


柔らかいホカホカとしたご飯が好きな人は、コシヒカリを好むかもしれない。


丼ものを食べる時は、固めに炊くとよいだろう。

日本人好みのオールマイティーな米がコシヒカリだと思う。


ただ、8割が同じ品種だと問題もある。


台風などの自然災害で、一度に、影響を受けてしまう。


そこで、実る時期が違う米をバランスよく育てようと、富山は取り組んでいる。


ちなみにてんこもりは、コシヒカリより一週間ほど収穫が遅くなる。

コシヒカリ、てんこもり、は特A受賞米。
富山で味わえる、特上の米である。



米前線をめぐる冒険!! に何度か書いているけど、水がいいと米も酒も旨い。



蛇口をひねると美味しい水が出てくる富山は、大阪に住むものとしては羨ましい。


淀川もキレイになったとはいえ、水道からおいしい水は出ないように思う。

ペットボトルの水で、米を炊いたりするくらいだ。
水は、食材にとって命なのだ。

旨い米の炊き方を島根で書いた。
『美味しんぼ』の話で、米の粒をそろえるといい。ということだった。
「米が育った水で炊く」のも、また、旨い食べ方だ。


美味しんぼのように粒をそろえるのは大変だけど、米が穫れた土地の水で炊くのはできそうだ。



余談だけど、
富山県七尾市に『株式会社 御祓川』という会社がある。


御祓川は、七尾の中心街を東西に分ける川で、かつては運河として賑わっていた。

ところが、現在、御祓川は危機に陥っている。ドブ川になってしまったのだ。


御祓川をキレイにし「また、川と一緒に暮らそう」と、株式会社御祓川は事業を展開している。

珍しい会社だと思う。


運動のかいもあり、徐々に御祓川の水質が向上してきたという。

川に背を向けていた家が、川の方を向くようになってきた。


川が人が川に戻って賑わうのは、

まだまだ、これからだろうけど御祓川は生まれ変わろうとしている。
水がキレイだと、そこに暮らす人々が間違いなく健康になると思う。
体もココロもね。



11月23日の新嘗祭の日。
全国の神社では、新穀の収穫を祝う神事が行われる。


富山は、新嘗祭を祝う神社が多いように思える。


米どころということもあるのだろう。


新米を天皇が感謝しいただく新嘗祭に、僕たちも新米をいただいて参加したい。


神社に行かなくても、新米を食べればいい。


例えば、月見は収穫祭だから「月見むすび」「月見弁当」とかにして、みんなでいただく。



GHQが、新嘗祭を日本人から取り上げてた経緯もある。


そもそも、勤労と収穫の感謝をくっつけたようなネーミングはいただけない。


 

スッキリ新嘗祭にして、みんなで新穀を祝えばいいぢゃないか。


お神酒と新米をいただく日は、経済効果も大きいだろう。

クリスマスもバレンタインも問題ないのに、神社の行事はダメなんて変な話だ。

 


米前線は、庶民が祝う新嘗祭を復活させたい。



特Aコシヒカリは、9月中旬。

 

文:紙本櫻士

 

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新潟

「いっちゃんうんめ新米が、新潟にはあるすけ」
コシヒカリ9月中旬。こしいぶき9月上旬。

 

コシヒカリは、福井の米である。
でも、ネーミングをし広めたのは新潟だ。
『越光』と書くが、コシヒカリとカタカナ表記にしたのには、座布団5枚くらいあげたい。
なんだか、粒が光っていて腰があり食感が良さそうなよい名前ではないか。

新潟は、肥沃な土地があり、昼夜の寒暖差が大きいため、旨い米作りに適している。
いい水も豊富だ。信濃川があるしね。
とはいえ、日本に新潟以外にも米作りに適した土地は、多いのだ。
美味しい米だって、たくさんある。

新潟県は、美味しい米『コシヒカリ』のイメージを
市場に広める戦略が上手なのかもしれない。
特A『魚沼産 コシヒカリ』は、コシヒカリの中でも特別なイメージがある。
「コシヒカリは、料亭などで使われている上手い米だ。その中でも、魚沼産は格別」
といった、イメージ作りが素晴らしい。
コシヒカリは、旨いだけではないのだ。

かつて、コシヒカリとササニシキが両横綱だった。
しかし現在、宮城のササニシキは、幻の米くらいに減少している。
1993年の冷害の影響でササニシキが、激減したのが理由だそうだ。

農家の人はそれだけじゃないと言う。
ササニシキは、美味しいコメだけど、手間がかかるのだ。
「いまは、ひとめぼれだ。冷害がなくても、ひとめぼれになっただろうよ。作るの簡単で、手間がかからねくてうめぇから」と、ある農家が言う。

ササニシキは、粘り気がなくさっぱりとしている。
つまり、寿司や丼ものに合う。
実際、ササニシキが好みの人も多いだろう。

コシヒカリは、甘みと粘りの米だ。
米だけで旨いのが、コシヒカリだろう。
腹にもどーんとくる。
それに対してササニシキは、さっぱり何杯でもいける感じ?

近年、青森『晴天の霹靂』、熊本『森の熊さん』北海道『ゆめぴりか』など、特Aのコメが群雄割拠である。
コシヒカリとササニシキで争っていた時代から、多様なブランドに移行したのだと思う。

しかし
この先は、ブランドから誰が作った米が旨いのか? に移行すると思っている。
ネットの影響だ。
ロボット検索が強力になり、現実世界にも影響を及ぼしている。
平たく言うと、探すのが簡単になったのだ。

米前線は、現在のブランドで選ぶ世界から旨い米を作る田んぼを選ぶ世界への橋渡しをしたい。
米前線で、それをやりたい。

こしいぶきは、9月上旬。

文:紙本櫻士

 

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事務局

株式会社 プレスト

 

〒573-0066

大阪府枚方市伊加賀西町57-4

mail:ohshi@shikon.meiji.ac.jp

概要

食と文化で、人を幸せにする会社

株式会社 プレスト

 

代表 紙本櫻士

ライター、コピーライター、アントレプレナー、小説家。日経新聞広告、エッセイ。

共同通信エッセイ。『川の水』(河川環境財団)『あまから手帳』(クリエテ関西)。『サライ』(小学館)などで執筆。交野新聞『僕の神さま』連載中。

SF小説連載『タイムハッカー』(A・ha)『日経新聞月間広告賞』『ノベルなび大賞 小林泰三賞』(『おっぱい』小説)  『僕の神様』(小説 交野新聞連載中)

川はともだち:代表 

薪能と音楽を楽しむ月見『千人の月見の宴』では、7000人を動員しました。

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