北海道

北海道は、世界的にも稲作の北限です。

最北の水田は、遠別町だそうです。

青森でも書きましたが、北の国は5月から10月にかけての日照時間が長く、米を育てるのに適しています。

また、昼夜の寒暖差が大きいとコメは美味しくなります。

さすがに、北海道は稲にとって過酷だと思えますが、ななつぼし、ゆめぴりかの2つが特Aを受賞。

新潟と並ぶ、北海道は大穀倉地帯です。

消費量もトップクラスですから、北海道の人たちは、米が大好きです。

 

【2019年 北海道の特A受賞米】 👑

ななつぼし

ゆめぴりか

 


「北海道の米は、なまら、うまいっしょ! 食べたことあるかい?」

ゆめぴりか、ななつぼし9月下旬から10月上旬。

 

北海道は、トップクラスの米どころである。

1位が新潟、2位が北海道だ(2017年農林水産省調べ)。


2019年には、『ななつぼし』『ゆめぴりか』が特Aを受賞している。

たくさん作るし、しかも旨い。

でっかいどう。北海道。なので収穫量も多いのだ。


そもそも、暖かい地域の植物である稲を(わざわざ)寒い地域で育てるのは、なぜ?
という疑問もわく。

栽培に適した場所から買えばいいではないか。

大阪だって、カニを北海道や北陸から買っている。

大阪湾で養殖しようなどとは、考えないよね。

ただ、米は日本人にとって特別なモノのように感じる。

北海道の米への情熱は、米への日本人が持つ「特別なモノ」からきている。


江戸時代、函館近郊で(細々と)米を育てていた記録はある。
新函館北斗駅の南東4キロの地に『北海道水田発祥の地碑』が建っている。
碑文では、1692(元禄5)年に、松前藩が文月地区で稲作を始めた。とある。

かつて北海道では、米は育てるものではなく買うモノだった。
「寒くて育つわけないべ」
と、考えていたのだ。

僕もそう思う。

「それでも、自分たちの米さ作って食べたいべ」
と、米作りを始めたのは「北海道稲作の父」と呼ばれる中山久蔵さんである。
元仙台藩士で、維新後は北海道開拓を志して稲作を始めたのだ。
北海道に移民した人たちも、自分で作った米が食べたいと「潜在的」に願っていたのではないだろうか。

中山さんの米作りの情熱は、すごかった。
寒いと田んぼにお湯を足しに行くくらいの執念である。

「ビニールハウスじゃだめなの?」

と言いたいけど、その頃、ビニールは存在しなかっただろう。
もはや、米オタクというか変人の域に達している。

 

お湯を足しに行く姿を見た人は、笑ったかもしれない。

しかし彼は、道南より北で育てることができる寒冷地米『赤毛種』に成功する。
しかも、苦労して作った種籾を中山さんは開拓移民に無償で配った。
種籾で一儲けしようという人ではないのも素敵な変人なのだ。


ちなみに、2019年に特Aを受賞した『ゆめぴりか』は『赤毛種』の子孫である。

かつて北海道の米は、不味かった。
鳥もまたいで食べない「鳥またぎ」などと揶揄されたりした。
「だって、寒いんだからしかたないべさ」
とは、北海道の人たちは思わなかった。
新しい米作りの挑戦が続く。

中山さんのような情熱を持った変人が、北海道には沢山いるのだ。

80年代、『きらら397』の登場で「鳥またぎ」から旨いコメへ快進撃が始まる。
「北海道の米は不味い」が、180度変わった年だ。
コメあまりが叫ばれ、時代は減反に向かっていた。
もはや、量より質なのだ。

2001年は『ななつぼし』
2003年『ふっくりんこ』
2008年『ゆめぴりか』へと続いていく。

気になることもある。
現在、南方の稲作は暑さに強い米が人気である。生産者に。
暑さ対策米が、求められているのだ。

宮崎あたりで作られている特A『にこまる』も、そんな米だ。

暑さに強いのが取り柄の米なのに、旨いなんて驚き!」

という優等生が『にこまる』である。


ことによると温暖化により、旨い米が北上しているのかもしれない。
「温暖化は、悪いことばかりじゃない。北部の生産性が上がるから」
という、発言を読んだことがある。
北海道で美味しいコメが穫れだしたのには、温暖化の影響もあるのではないか。


ゆめぴりか、ななつぼし9月下旬から10月上旬。

文:紙本櫻士

米前線をめぐる冒険!!
https://komezensen.jimdofree.com/

 

HOME

 

漫画な米前線

PVアクセスランキング にほんブログ村

事務局

株式会社 プレスト

 

〒573-0066

大阪府枚方市伊加賀西町57-4

mail:ohshi@shikon.meiji.ac.jp

概要

食と文化で、人を幸せにする会社

株式会社 プレスト

 

代表 紙本櫻士

ライター、コピーライター、アントレプレナー、小説家。日経新聞広告、エッセイ。

共同通信エッセイ。『川の水』(河川環境財団)『あまから手帳』(クリエテ関西)。『サライ』(小学館)などで執筆。交野新聞『僕の神さま』連載中。

SF小説連載『タイムハッカー』(A・ha)『日経新聞月間広告賞』『ノベルなび大賞 小林泰三賞』(『おっぱい』小説)  『僕の神様』(小説 交野新聞連載中)

川はともだち:代表 

薪能と音楽を楽しむ月見『千人の月見の宴』では、7000人を動員しました。

ブログ『起業でごはん!!』